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学校歯科健診
学校歯科健診について
学校歯科保健活動の目的は、将来の国を担う子ども建の歯と口の健康の保持増進を図り、学校教育の円滑な実施を支えることです。
幼稚園・保育園・小学校・中学校・高等学校などで行われる歯科健診は、この様な歯科健康管理の中心を占めるものです。
健診では、虫歯だけでなく、歯肉、歯列、咬合、舌、口腔粘膜、顎関節などの異常の有無を診査し、歯と口の健康状態を伝え、治療の指示や歯科保健指導を行います。
学校保健の三つの領域「保健教育」、「保健管理」、「組織活動」にまたがり、保健に関する専門職として学校関係者、児童生徒、保護者や地域の住民の皆さんと連携を図りながら、子どもの健康づくりのために活動をします。
歯科保健教育
歯科保健教育に関する具体的な仕事としては、次のようなものがあります。
(1)歯科保健に関する事柄について、学習や保健指導などに必要な教材や資料の提供及 び助言を行います。
(2)歯科保健に関する事柄について、学校行事や特別活動の指導に必要な教材や資料の 提供及び助言を行います。
歯科保健管理
歯科保健管理に関する仕事は、学校歯科医の基本的な仕事であり、次のようなものがあります。
(1)歯・口の健康診断(定期・臨時・就学時)を行い、処置(予防と治療)及び保健指 導を要する者をスクリーニングします。
(2)歯・口の健康相談を行います。
(3)歯・口の疾患の予防処置及び保健指導を行います。
(4)健康診断時に個別の歯科保健指導を行います。
(5)事後措置として健康診断結果に基づいてCO・GOを選別し、疾患の予防や治療措置 が必要な者には指示します。
(6)事後措置の一環としてCO・GOなどを有する者に対し継続的な観察や指導を行います。
組織活動
組織活動に関する仕事としては、次のようなものがあります。
(1)「学校保健安全計画」の立案に際して、歯科保健の部分についてはもちろん、より 広い見地から学校保健全般について意見を述べます。
(2)学校保健委員会・地域学校保健委員会へ参加し、学校・家庭地域の人々と子どもの 歯・口の健康づくり推進や、健康に関する課題について提言したり意見を述べます。
(3)学校保健関係者(教職員、学校医、学校薬剤師)とのコミュニケーションを図り、 子どもの健康づくりを推進するための協力体制を築く事が大切です。このためには学校歯科医本来の仕事の他、運動会、入学式、卒業式等学校行事や地域の行事に積極的に参加することが望ましいとされています。
学校歯科検診の役割
私たち学校歯科医は、みなさんのお口の中にむし歯や歯肉炎がないか?歯並びやかみ合わせに異常がないかどうか? 年に一度は、みなさんの園や学校を訪れて歯科健康診断を行っています。場合によっては、年に2回以上するところもあります。
このような学校の健康診断は、単に病気を見つけるためだけのものではなく、しっかりと歯みがきをしなくてはいけない人や甘いものを控えたり、とり方に注意しなければいけない人たちを見分けるために行っています。みなさんを「スクリーニング」というふるい分け(選別)をします。その結果、治療の必要な人は、「かかりつけの歯医者さん」で治療をしてもらうように、また、「要観察」の人はしっかり歯みがき指導を受けたり、甘いものや食事のとり方を教えてもらい、病気にならないように予防しなければいけません。
歯科保健は、実際にお口の中が見えるため、皆さん一人ひとりの歯の状態にあったみがき方や食物の食べ方についていろいろ教えてもらうことにより、子ども達の自分で自分を管理する能力を育てることができるので、健康に関する教育にとって重要な役割を果たしていると言われています。その一方で、学校歯科保健では、むし歯だけでなく、歯周病、歯肉炎、歯列咬合(しれつこうごう)なども、これからはより注意することになっています。以前からすると、お口の中の状態も大きく変わってきており、養護の先生や学校歯科医も健康相談や保健指導するようになってきています。
特に、学校の歯科健康診断のむし歯や歯肉炎の結果など、歯や口の健康課題だけではなく、子どもの健康そのものの保持増進を図るという取組が必要になってくるようです。
すなわち、生活習慣病の予防という面に注目し、歯科検診は、病気を見つける「疾病発見型のスクリーニング」ではなく、「健康志向型(健康増進)型のスクリーニング」であることに意義があると言われています。
今後は、歯列咬合(しれつこうごう)や顎関節も、重要な検診項目となります。これらは、「食べ物をとり込み、食べる」機能、「表情を作り、話す」機能、及び「運動を支え、体のバランスをとる」機能に直接関係し、生活の質に関わってくるため、学校歯科医はもちろん、養護の先生をはじめとする学校の先生にも、その重要性の共有が求められています。
学校歯科健康診断は、むし歯や歯肉炎などの病気をスクリーニングするためだけの検診ではなく、より健康を増進させて行くための健康教育が重要視される方向に進んでいます。